◆渋谷区 U・I様(お名前未公表希望)

     前田日明さんの講義を受けました。前田さんはまあくさんと長くお知り合いということで、リラックスしてむしろまあくさんのほうが緊張
     されているようでした。それもそのはず、つい数日前、前田さんのお父様にご不幸があったというのです。そんな状況でどんな話が出来る
     のか・・・こちらも緊張してしまいました。

     講義の中で印象的だったのは、私からすると壮絶な人生のはずが、前田さんが様々なエピソードを意外とあっけらかんとお話しされていた
     ことです。お父さんが韓国に行って帰ってこなかったこと、突然やって来た弟さんのこと。絶望的に感じられる自分の体験を、何か他人事の
     ように客観的に冷静にお話しされているような気がして、それは悲しみを感じていないどころか、そんな感情が麻痺してしまうほど悲しすぎた
     のか、それでも幼少の頃、お父さんと妹さんと、お母さんと食卓を囲んでいた思い出を楽しそうにお話しされていたのは微笑ましく感じま
     した。きっと前田さんは人一倍、家族団らんをしあわせと感じているのでしょう。

     だからお父様が亡くなって数日で冷静に語ることが出来る、ということは、まだ実感がない、ということもあると思いますが、それだけ
     生前にどれだけお父様に対して心底大変な思いをしたか、長い闘病のこともあり、精神的には一抹の安堵感も感じ取り、逆に前田さんの
     深い辛さ哀しみを感じた気がしました。

     また、講義の中で、「大人が無責任」という言葉がありましたが、前回石井さんも自由には責任があるとおっしゃっていたことを思い出し
     ました。親という存在というテーマですが、責任という言葉がキーワードのような気がします。最近では子育てがうまく行かないことを
     教師のせいにしたり、周りのせいにしたりするような大人がたくさんいます。子供を生めば、親になった気がするのかもしれませんが、
     「親」という字は「木に立って見る」と言うように、子供を自分の責任を持って育て、初めて親といえると今までの講師の方々の親との
     お話を聞いて、そう感じます。

     今、前田さんはアウトサイダーという格闘技を行っているとのこと。どんな環境にあっても立ち直る人、そこであきらめてしまう人は
     紙一重で、そこには自分の意思はもちろん大事ですが、誰だってあきらめたくないと思うと思うんです。そこで親なり、例えば前田さんの
     ような道しるべがあったら、背中を押してくれる、凄い力になると思います。

     前田さんに勇気づけられて、復帰できる若者がいて、それは言葉だけの表面的なものでなく、実際に経験されてきた人生があるからこそ。
     親は唯一無二の存在ですが、その人たちにとって前田さんは親以上の影響力になるでしょう。きっと、前田さんに勇気づけられた若者は、
     その後他の人を助ける人に成長すると思います。自分自身が戦うことを経て、今度は自分のような若者を勇気づける、という前田さんだから
     こそできる、やるべきことを見つけたような気がして、うらやましく感じました。

     私も今30を目前にして自分に与えられた役割を考えています。前田さんのように、その人だから出来ること、誰かの力になることができた
     らいいなと思っています。

     この講義を受けるまで、私は格闘技に興味がなく、どちらかというと暴力的で敬遠していました。今でも殴り合ったりすることが理解できる
     わけではありませんが、お話を聞いて前田さんのこれまで歩んで来た人生と、悲しみを乗り越える力、それを支えた格闘技という存在を知り
     ました。カリスマ性には、どこか陰があるものなんでしょうか。特に前田さんは悲しい経験や思いが表現力とか、原動力になっているような
     気がして、悲しくもそれが前田さんの魅力にもなっているのかもしれません。生きるためには、くよくよ考えても仕方ない、必死に生きて
     いくしかないと教えていただきました。

     前田さん、これからも体にお気をつけて、ご活躍ください。
     最後になりましたが、前田さんとまあくさんの友情がとても微笑ましく感じられました。
     まあくさんだから前田さんもお話しできたことなのでしょう。
     第1回も第2回も思ったことですが、このような貴重な場に参加できて、本当に良かったと思いました。